先日、BBCの特集でルーマニアのジプシーが紹介された。所謂ジプシーと呼ばれるロマは、国内だけでも数にして2百万人は居るという。国の人口が20百万人なので10%に相当する。ジプシーと云えば、家がなく常に移動を続ける民族だ。オペラのカルメンのような踊り子もいるかと思えば、定職がないためスリ、物乞いが多い。
有名なのはパリの乞食である。路上で物乞いしている女性は殆どこのルーマニア出身のジプシーと云われる。多くは薬で寝かした赤ん坊を抱いているが、生きているのか死んでいるのか分からない。また少年も多い。新聞紙をかざしながら寄ってきて、新聞を見ている隙に下から出した手で金を取る手口である。
ルーマニアは最近観光に力を入れている。作曲家ジョルジュ・エネスク(George Enescu)や豊かな自然を売りにしている。手付かずの郷愁を感じるので、一度行ってみたい国の一つだ。ただパブ仲間で首都ブカレストに駐在した人によると、暫く前まで「外国人の食糧がないので、大使館が本国から取り寄せていた」と、生活環境は中々厳しいのようだ。それでなくても、ルーマニアは怖い印象がある。古くはドラキュラ伯爵、攻め入るトルコ軍の兵士を串刺しにして路上に林立した話や、その後の吸血鬼のイメージもある。また少し前ではチャウシスクの独裁、体操のコマネチも被害者になった。
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