小島剛一著「トルコのもう一つの顔」(中公新書)は、とても痛快な本だった。随分前に出版された本だし、著者は言語学者と聞いて余り期待していなかった。一般的に、学者の書いた歴史書は史実の列挙で味気ないからだ。ところがこの本は、出だしからまるで水でも流すようにすらすら読める。言語を専門的にやっている人だけあって文章が練れているし、何と言っても閉鎖社会の内側を紹介した話が面白い。
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クルド民族は、湾岸戦争の時に山岳地帯に逃げ生活している光景が紹介された。桁違いの生命力であった。本書の続編が出ているというので楽しみだ。
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