旅をしていると、時々思いも掛けないものに出会うことがある。取り分け、過去の記憶と出会えば感激も一入だ。
子供の頃に百科事典で見た、コンスタブルの絵画「ソールズベリー大聖堂(Salisbury Cathedral)」は夢のような風景だった。英国の深い森、そこから立派な男女が見上げた聳え立つような教会、その自然と芸術のコントラストに、いつの間にか一番好きな絵になっていた。
それから20年ほどして、ボーンマスからバーミンガムにレンタカーで向かう途中、偶然通り掛かったソールズベリーの町で本物の大聖堂に巡り合えた。時を経て、百科事典の写真そのものの風景に感動した想いがある。そして又10年、今度はNYのメトロポリタン美術館を訪れた時のことであった。駆け足で館内を観て廻っていると、偶然その絵画が目に入った。思っていたより小さかったが、旅が完結した気分になった。こんなことは滅多にないが、一枚の絵に因縁を感じた旅だった。
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