こちらの人の結婚式は、教会で式を挙げた後、車のクラクションを鳴らし、参列者が街を走り回る。この辺はどこでも同じだが、変わっているのは、ゆかりの場所で参列者がシャンパンを空ける風習がある。例えばロシア国境のナルバの町ではソ連の記念碑とか、冬だとクロスカントリースキーのコースになっている橋の上とか・・・。
最近でこそなくなったが、若い時は良く結婚式に出たものだ。1日昼夜の掛け持ちもあった。数あるスピーチを聞いたが、中でも大平さんの話は印象的だった。若い人は知らないかもしれないが、昔「アーウー・・・」で有名な政治家、故大平正芳氏である。
それは、フランスの作家兼政治家アンドレ・マルローの話だった。ある時、マルローが記者から「もし何か1つと云われたら、貴方は何が欲しいですか?」と聞かれた。それに対して彼は、「自分は作家なのでペンが欲しい」と応えたという。そして「出来れば語り合う友が欲しい」、それから「寄り添う妻が欲しい」・・・とやって行くうちに、何のことはない今の自分そのものだったことに気が付いたという。大平さんは新郎新婦に、”幸せはどっかにあるのではなく、意外と足元にあるのですよ”と諭していたのを思い出す。
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