この国にも小さなオペラハウスがあり、現在は「カルメン」を上演している。あまり期待していなかったが、観ると中々の出来だった。始まる前にスペインの古い写真を写しだし、観客が十分感情移入したところで幕を開けたり、舞台装置も良く出来ていた。観客も土地柄、ブラボーなどのエールもなく静かに浸っている。海賊似の闘牛士やブロンズの子供たち、エストニア訛りの仏語台詞・・・、地域色もあって面白かった。
「カルメン」は、スペインの闘牛場を舞台したジプシー女と、彼女に恋する兵士の物語である。どの曲も郷愁があって親しみが持てる。トレアドールは運動会の行進曲で使われたので、日本人なら誰でも知っている。ただジプシー女のカルメン役を演じるのは中々難しい。歌唱力は勿論だが、ハバネラの歌などドスの効いた凄みが必要だし、何といっても男を魅了する役柄だけにルックスが大事だ。
その点、暫く前に旅先のTVで観たエリーナ・ガランチャ(Elīna Garanča)は素晴らしかった。NYのメトロポリタン歌劇場のカルメンだったが、主役のエリーナ・ガランチャは、歌唱力、演技力、どれをとっても最高のプリマドンナではないかと思った。ひょっとしてマリア・カラス以来かも知れない。思わず旅を忘れて魅入ってしまったが、その彼女、隣国ラトビアの出身という。
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