Thursday, 1 September 2011

ヴェンツピルスのアコーデォン弾き

ラトビアを旅していると物乞いが多いのに驚く。多くは普通の男、
カネやタバコだけでなく、ビール奢ってくれという不束者もいる。

国が荒廃しているのは勿論経済の停滞だ。2008年に国内2位のパレックス銀行が倒産してから失業率は20%を超えるなど、EUの中でも最悪の国になった。加えてロシア人問題がある。ソ連解体後に国に帰らず無国籍になった者が今でも国民の20%以上もいる。エストニアでもこの問題はあるが、それでも7%程度だ。無国籍者は、本来は国から出て行く人達だったので、居残っている不気味さがある。本人はパスポートがないので国から出ることも出来ず、そうした絶望感が物乞いに繋がるのかも知れない。


ラトビアの西にヴェンツピルス(Ventspils)という港町がある。リガ湾の入り口に位置し、バルト海を隔ててストックホルムも近く昔から交易が盛んだった町だ。そのためラトビアの中で最も経済状態がいい町と云われる。市場の近くを通ると民謡のような懐かしいメロディーが聴こえてきた。見るとスカートを履いた男がアコーディオンを奏でている。暫し足を止めて耳を傾け、去り際に小銭を投げ込んだ。すると子供がハエのように集まってその小銭を取ろうとする。アコーディオン弾きは演奏どころでなく、追い払うのに忙しくなった。

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