Friday, 12 August 2011

バルト海の赤潮

アイルランドの首都ダブリンからエストニアのタリンへは、飛行機で2時間40分程である。北海からデンマークを境にバルト海に入り、スウェーデンを左に見ながら飛ぶ。機上からバルト海を眺めると白い尾のようなものが見える。コーヒーに注いだミルクのように、見方によっては芸術的な模様を繰り広げている。ただこれは赤潮である。

バルト海は元々黒く透明感がない、そこに持ってきて茶色く染めているのが赤潮だ。夏になっても海で泳ぐ人があまりいないのはそのせいもある。ただ冬になると暖流となり海が凍らない働きもする。昔ロシアはラトビアのリバウに軍港を築いたが、これは不凍港だったからだ。因みにバルティック艦隊はそこから出航し、東の拠点である旅順に向かった。

ところでタリンの町には魚屋がない。魚は申し訳程度にスーパーの片隅で売っている。多くはノルウェー産のサーモンとキャビア(高級なチョウザメの卵ではなく安物)である。この魚が捕れない原因の一つが赤潮である。プランクトンの異常発生で魚が寄り付かないからだ。唯でさえもバルト海は、チェルノブイルの放射能汚染が未だ残っていると云われている。海はやはり綺麗であって欲しい。

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