ハンザ同盟は、13-15世紀にバルト海沿岸の都市を繋いだ貿易圏である。布教と王を守る騎士団の常駐、その中で育ったのが沿岸都市だった。特にリューベックはその中心として栄えただけあって、教会の数が半端でなかった。15世紀に入り、物の流れがバルト海から大西洋に移ったのをきっかけに都市の役目は終わった、かに見えた。にも拘らずそれから500年、現在でも町々は隆々としている。一つは観光に力を入れた成果だろう。戦争で壊れた都市を忠実に再現、中世の面影を取戻した。これに掛けたお金と情熱は凄かった。もう1つは工業化だ。今回通ったブレーメンにもメルセデスベンツの大工場があったように北ドイツは工業のメッカである。この両輪が旨く噛み合った。
ブレーメンでは小さな民宿に泊まり、街を散策した。20年振りで懐かしかった。グリム童話の「ブレーメンの音楽隊」で有名な街だ。広場では、同じグリム童話の「ハーメルンの笛吹き男」装束を着た男が、子供たちをガイドしていた。いつぞや阿部謹也氏の名著を読んだことがあったが、子供たちを浚って行った笛吹き男は、時代の世相を反映した風刺物語だそうだ。泥棒を追っ払う鶏やロバから成るブレーメンの音楽隊の話も、ひょっとしてその類かも知れない。この季節、ドイツは白アスパラガスが旬である。さり気なく出てきたアスパラガススープが旨かった。
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