友人に薦められ、暫く前に読んだ本がとても良かった。ベストセラーにもなっているらしいが百田尚樹著「永遠の0(ゼロ)」である。ゼロ戦乗りだった祖父が終戦を前に特攻で逝く、孫がその最後を遡る物語だ。戦時の描写、主人公の人間性、ミステリー的な展開が見事な1冊だった。
私の父は学徒で出征、海軍の飛行隊に配属された。土浦を経て鹿屋で終戦を迎えた。何年か前に80歳になろうかとする母を連れて鹿児島を旅したことがある。鹿屋から知覧を廻り当時の足跡を辿った。指宿では地元の人情にも触れた。
鹿屋は海軍の特攻基地であった。物語の主人公も最後はここから飛び立った。現在でも自衛隊が使っているのでその面影は残っている。富士山に似ていると、特攻機は開聞岳に別れを告げて南に飛んでいったと聞かされ、胸が詰まる思いもした。父は多くを語らなかったが特攻ではなかったらしい。戦後、海軍を誇りに思っていた反面、いろいろあったらしく学徒同期の会に誘われても一度も行かなかったようだ。
今となってはどうでもいいことかも知れないが、この本を読んでいるうちにそんなことを思い出した。
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