Monday, 23 May 2011

スウェーデンの強さ

友人夫妻が世界1周のクルーザー「飛鳥」に乗って、ストックホルムに来るというので飛んで行った。天気も良く、青地に黄十字のスウェーデン国旗が美しく初夏のバルト海に靡いていた。ストックホルム港のベンチに座り行き交う人を見ていると、まるでPOLOのグラビアから抜け出して来たような、金髪にブレザーネクタイ姿の若い紳士が目に付いた。こんな光景はパリ、フランクフルト、況やバルト諸国ではまず見られない。福祉、高い一人当たりGDPに代表される豊かさがそこにあった。


街も洗練されていてとても美しい。それもそのはず、2回の世界大戦も中立を維持したため戦火に巻き込まれなかったからだ。ただかつての同胞である隣国フィンランドがロシアから、ノルウェーがドイツから侵攻され助けを求められた時もこれを頑なに謝絶、一方で英国からの経済関係も絶って食糧難と闘った凄い中立だった。その歴史の教訓が今日、NATOには加盟しない、ユーロも導入しない理由になっていることは間違いないだろう。


その中立を支えるのは国防である。自動車のSAAB社は、ビゲン、グリペンといった最新鋭の戦闘機を作っている。専守防衛のため爆撃機は持たない。VOLVO社も昔から軍用トラックで有名だ。ハマーショルドが国連事務総長を務めていたこともあり同国はPKOに熱心だが、これを支えているのが白く塗ったVOLVO製の装甲車だ。またBofors社の機関砲、戦時中アメリカ軍艦に積んで日本の航空機を撃ち落としたと言われている、も戦時中から活躍した 。入り組んだ地形と岸壁を切り抜いた天然の要塞基地は、バイキングよろしく今日も海軍の母港である。ただ最新鋭の兵器だからと言ってこれを輸出しないところもまた凄い。あくまで内需だけらしい。


ではどうして中立が可能になったのだろう?今回思ったのは、それは大国ロシアに接していない地理的な理由から来ているのではないかと。スイスもきっとそうかも知れない。かつての王国は小さくなったものの、それが転じて今日も輝き続けている。

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